「ゲーミフィケーション」という言葉を聞いたことはありますか?
ゲームの要素を教育、社会活動、サービス開発など他のビジネスに組み込むことを指しています。
ゲームは依存=やり過ぎとなると悪いイメージで捉えられがちですが、友達や世界中の仲間とオンラインですぐに繋がれるオンラインゲームをはじめ、もはやゲームは世界の共通言語で、貴重なコミュニケーションの場です。
不登校のお子さんが家でゲームばかりしているがどう接していくべきかに関しては、「不登校でゲームバカほど将来性あり【Z世代トレンド】」にて解説していますので、そちらをご覧下さい。
学習の仕方に留まらず、サービス開発や福祉の分野など仕事の進め方にもゲーミフィケーション導入によるモチベーションアップや達成感の獲得などプラス効果が注目されています。
好きなことをゲームのように「遊び」感覚で没頭することがこれからの仕事になっていくAI時代に、ゲーム感覚の応用でいかに学習や仕事を面白いものにしていくかは、Z世代(12才~27才)にはとりわけ重要なテーマです。
ゲーミフィケーションの学習への応用や、ゲーム感覚で学べるサービスの展開に興味がある方には、お役に立てる情報です。
【目次】
1.ゲーミフィケーションの特徴と教育分野での期待
2.海外での学習におけるゲーミフィケーション事例
3.日本でのゲーミフィケーション活用の学習サービス事例
4.ホームラーニングについて
まとめ
1.ゲーミフィケーションの特徴と教育分野での期待
ゲーミフィケーションとは、ゲームの要素を教育、社会活動、サービス開発など他のビジネスに組み込むことを指しており、2010年代から使われるようになった言葉です。
ビジネスで多く活用されており、現在では教育や福祉などに採用されるケースが増えています。
クイズ形式の教材や、何かの活動の際にポイントの設計やレベルアップ、競争の仕組みなどを導入することもゲーミフィケーションの一部です。
【ゲーミフィケーションの特徴】
1)ゲームの要素を取り入れていること
本来ゲームではないサービスの一部に、ゲームの仕組みやデザインを取り入れています。ゲームのゴールやルール、探求や発見などゲームの主要な要素がサービスに組み込まれています。
2)課題・ルールが明確であること
クリアすべき課題が明確に設定されており、課題をクリアすると何らかの報酬が得られます。またルールが決まっていて、そのルールの中で課題に取り組み、一定の条件の課題をクリアすると報酬が与えられるため達成感が得やすくなっています。
3)モチベーションを高められること
ゲーミフィケーションを活用することで、そのサービスに対する動機付けにつながります。例えば、一定時間を課題をクリアするための活動にかけると電子バッジや称号が与えられることなどで、そのような仕組みは行動を促すモチベーションとなります。
課題志向のゲームと学習は、その相性の良さから、教育分野では様々な効果が期待されています。
ゲーミフィケーションを学習に取り入れることで期待される効果は、一般的に次の3つがあげられます。
①学習を継続しやすい
ゲームは本来課題志向であるため、課題をクリアすることで学習者自身が成長を実感しやすく、継続学習につながりやすいです。
②繰り返しの学習で、暗記しやすい
暗記すべき事柄も、ゲームを通じたトライ&エラーの繰り返しで自然と身につけやすいです。
③複雑な内容が理解しやすくなる
言葉だけでは理解しにくい複雑な内容を、動画で解説したり、キャラクターとの会話やビジュアルなストーリーの中で覚えると理解しやすいです。
2.海外での学習におけるゲーミフィケーション事例
米国では2010年頃からゲーミフィケーションの活用が様々な分野で開始されましたが、ここでは学習分野におけるゲーミフィケーション事例を紹介していきます。
学習をゲーム化することの意味は、クラスでゲームをすることもありますが、日常の活動、グループワーク、行動管理などにゲーム要素を取り入れることです。
ゲーミフィケーションに取り入れられる主な必須要素として、目標、目標を細分化した課題、報酬、現状=課題の達成状況、他のユーザー・友達との交流・競争の5つがあげられます。
また、ゲーミフィケーションを取り入れる5つの仕組みとして、①ポイント(システム)、②バッジとステッカー(報酬)、③リーダーボード(ランキング)、④(ユーザーフレンドリーな)チュートリアル機能、⑤(時間的な)制限があげられます。
これらを効果的に取り入れることで、モチベーションを高め、達成感や成長実感が得られやすく、継続学習がしやすい学習サービスを構築することが大切です。
それでは米国のゲーミフィケーションを活用した学習サービス事例を具体的に見ていきます。
1.Classcraft
(7) How Classcraft Works - YouTube
Classcraftとは、ゲーミフィケーション学習を可能にするツールの1つで、米国のオンライン授業などに採用されています。
自宅でオンライン参加するリモート生も含めたすべての生徒が1つのゲーム場に集まり、各々カスタマイズ可能なアバター姿でゲーム学習に参加します。
1年間を通してポイントを獲得する仕組みとなっており、ゲームの達成状況に応じたバッジなどの報酬やリーダーボード、チュートリアルもあります。
教師は生徒をグループとクラスクラフトに入れることができ、生徒がお互いをサポートする方法を提供します。
報酬には、自分のアバターキャラクターのよりクールな外観、訓練可能なペット、宿題パス、質問の手がかり、いつでも使える特別な力などがあります。
生徒はオプションでランダムイベントやボス戦にも参加できます。
Classcraftは、つながりを強化することで教師の教えることへのやりがいを高め、生徒にとってはゲームとストーリーを利用することによって学習を楽しいものにします。
2.Kahoot!
(8) 【Kahoot! Tutorial】Kahoot!を使ってみよう!Vol1 Kahoot!でできること【授業をもっとクリエイティブに】 - YouTube
kahoot!は、ウェブサイトを介したクイズゲームで、教師が選択可能な様々なクイズを用意し、生徒はモバイルを使用してクイズで競い合えるWebサービスです。
リモート生を含めて、クラス内の質問への回答を生徒がリアルタイムで入力していくことが可能なゲームです。
例えば、Classicという生徒一人一人が個人戦でクイズを競い合うゲームでは、選択問題形式でどんどん回答していき、最終的に高得点の上位3名が表彰されます。
得点には問題を解く速さもカウントされ、各生徒の正解率と合計スコアが表示されるようになっています。
このように、Classcraftは面白いストーリーの仮想ゲーム空間で生徒は動画を観ながらゲームにトライしていき、自分のアバター姿で報酬を得るモチベーションを高めて楽しみながらゲーム課題をクリアしていくゲーム学習で、日本の教育にもすぐに取り入れてほしい学習サービスです。
Kahoot!は、Classcraftほど凝ってはいませんが、クイズ問題を皆で楽しく競い合うゲームで、クイズ形式の学習ゲームとして注目されています。
3.日本でのゲーミフィケーション活用の学習サービス事例
日本で学習分野にゲーミフィケーションを活用した事例についてみていきます。
1.すららネット「すらら」
「すらら」は対話型アニメーションのeラーニング教材で、小学生~高校生までを対象として、主に英・数・国の3科目が提供されています。
すららのゲーミフィケーション3要素は、1)他のユーザーとオンラインで競い合うこと(総学習時間やクリア数など)、2)キャラクターとのインタラクティブな対話形式で学習を進めていくこと、3)各ステージ(問題)をクリアすることがあげられます。
ゲーミフィケーションの一つである一人一人に合わせたアダプティブ(適応型)学習法を採用しており、言葉だけでなく視覚に訴える画像を多く使用した多感覚学習や、発達障害の子どもでも理解しやすいように文字・イラスト・音声を活用した学習などを採用しています。
また、ごほうび(トークン)を集めてたまったトークンで欲しいもの(報酬)をもらうトークンエコノミー方式も採用しています。
2.寺子屋ISHIZUE
寺子屋ISHIZUE 【学校が教えてくれない事を教える塾】(@ishizue_official) • Instagram写真と動画
高校生が教えるオンライン塾で、英語・国語以外にも広く社会に出て役立つ知識など、小・中学生が興味を覚える授業内容が特徴です。
直接ゲーム要素を組み込んだゲーミフィケーションと言うよりは、勉強の面白さに気付ける場所、自信を持って意見を言える場所として、帰国子女など様々な背景を持つ高校生講師が「ゲームをしていたらなれる職業5選」や「選挙に興味を持つ方法3選」等面白いテーマの講義をしています。
4.ホームラーニングについて
米国や欧州など先進国では、ホームラーニング=在宅学習は学校に通う以外の代替学習法として社会的にも広く認知され、当たり前の選択肢と見なされています。
そのため、ゲーミフィケーションを活用したオンライン学習でも、いつも在宅学習でリモート参加するホームラーニング生徒は、学校に通って授業に参加している生徒と何ら変わりなく授業を受けています。
一方日本では、発達障害や何らかの理由で学校に通えない生徒は不登校生として、学校に通って授業に参加している生徒とは区別して授業を進めているのが現状です。
2年前のコロナ禍での緊急事態宣言の際には、オンライン学習が立ち遅れていた小・中学校でも部分的にZoomやTeamsなどでオンライン授業を開始したりする動きが出てきました。
今後日本でコロナが終息しても、学校に通えない生徒たちのためにもオンラインでも在宅学習で参加可能なゲーミフィケーションを活用したリアル&オンライン学習が少しずつ定着していくことを願っています。
まとめ
1.ゲーミフィケーションの特徴と教育分野での期待
1)ゲームの要素を取り入れていること
2)課題・ルールが明確であること
3)モチベーションを高められること
2.海外での学習におけるゲーミフィケーション事例
Classcraftは、つながりを強化することで教師の教えることへのやりがいを高め、生徒にとってはゲームとストーリーを利用することによって学習を楽しいものにします。
kahoot!は、ウェブサイトを介したクイズゲームで、教師が選択可能な様々なクイズを用意し、生徒はモバイルを使用してクイズで競い合えるWebサービスです。
3.日本でのゲーミフィケーション活用の学習サービス事例
「すらら」と寺子屋ISHIZUEを事例にあげています。
4.ホームラーニングについて
欧米では「ホームラーニング」は代替学習法として社会的に認知されているが、日本では不登校=「学校に通えない」という認識に立っている点が大きく異なり、まだまだ在宅学習の環境が欧米と比べて十分に整っていないのが現状です。
Z世代(12才~27才)にとっては、YouTubeやTikTok、Instagramなど動画、GIF画像やイラストなど非言語ビジュアル、スマホなどSNS、VRやARを通じて、動画とビジュアルの最大活用が当たり前の時代になりつつあります。
今後Z世代の学習意欲を高めるのは、間違いなくゲーミフィケーションを取り入れたClasscraftのような動画・ビジュアルを最大限活用した仮想ゲーム空間でのゲーム学習スタイルです。
動画やSNS、VRやARなどITのさらなる進化とともに、現実空間とほとんど見分けがつかないような超仮想ゲーム空間にて学習、遊び、生活を行なえる近未来のメタバース時代が刻一刻と迫っています。
このブログが少しでも皆さまの気づきとなり、お役に立てたなら幸いです。